再生医療とは
再生医療とは、ケガや病気などで失われた身体の機能の改善・修復を幹細胞などを用いて治療することを言います。再生医療には、これから身体の組織に分化していく細胞そのものを投与する幹細胞移植や、からだの外で培養した組織の一部を移植する組織移植などがあります。

幹細胞とは
幹細胞(Stem cell)とは、長期にわたり自己複製能*と分化能* *を持つ細胞のことを言います。再生医療は、幹細胞のこの性質を利用して、ケガや病気の治療を目指すものです。再生医療において用いられる幹細胞には、ES細胞(胚性幹細胞)、ヒト体性幹細胞、iPS細胞(人工多能性幹細胞)などがあります。
自己複製能*…自分と同じ能力を有する細胞を複製する能力
分化能* *…それぞれの組織や臓器に特異的な機能を有する分化を遂げた細胞を作り出す能力。また、1つの幹細胞が複数の異なる細胞へと分化する能力のことを多能性分化能と呼ぶ。
間葉系間質細胞とは
間葉系間質細胞(MSCs:Mesenchymal Stromal cells)は、骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞に分化能を持つ細胞です。これまで「間葉系幹細胞」と表されていましたが近年「幹細胞」の性質と区別するため「間葉系間質細胞(Mesenchymal Stromal Cell)」が用いられるようになりました。
国際細胞治療学会の指針によると、間葉系幹細胞(間葉系間質細胞)は次の3つの条件を満たすものとされています。
ヒト間葉系幹細胞の定義
- 1. 接着性細胞であること。
- 2. 細胞表面マーカーのうち、CD73、CD90、CD105が陽性であり、かつCD11b、CD14、CD19、CD79a、CD34、CD45、HLA-DRが陰性であること。
- 3. 骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞への分化能を有すること。
間葉系間質細胞は体のさまざまな場所に存在していることで知られ、骨髄、脂肪、臍帯(臍帯血)、歯髄といった組織から採取が可能です。分化能・増殖能もそれぞれで異なります。
臍帯由来間葉系間質細胞とは
臍帯由来間葉系間質細胞(以下、臍帯由来MSCs)とは、臍帯(へその緒)から得られる細胞を指します。
臍帯には、Wharton’s Jelly (ウォートン・ゼリー) といわれる MSCs を豊富に含む領域があり、比較的簡単な操作で多くのMSCsを回収できるという特徴を持ちます。
また、臍帯は発生期にある胎児に由来する組織であるため、体成幹細胞の中でも臍帯由来MSCsは、最も若い細胞であると考えられています。さらに臍帯は、出産に伴って母体から自然に排出されるため、ドナーに追加の負担をかけることなく採集可能な組織であるという利点があります。
